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執筆のコツ:小説のコンテキストを管理する方法

2025年12月2日

コンテキストとは何ですか?

AI 大規模言語モデルは本質的に記憶を持ちません。そのため、小説の内容や関連する要件を、執筆用のプロンプトと一緒にモデルに渡す必要があります。そうすることで、モデルがあなたの意図により沿った形で創作してくれます。

以下の図のように、FeelFish では「創作ルール(文体・ガイド・アウトラインなど)」「キャラクター」「世界設定」といった情報をコンテキストとしてまとめて持たせることができます。これにより、ストーリーの一貫性を保ちながら、作者の意図をより強く反映した文章を生成できます。

context-example

また、エージェントでは AI が強力なツール呼び出し機能を持っており、必要に応じてファイル内容を読むツールを自動的に呼び出すことができます。
そのため、エージェントとの対話では「事前にファイル内容をすべてコンテキストに含めておく」必要は必ずしもありません。
一方で、執筆支援パネル(下図)の中では AI は自動でファイルを読み込まないため、コンテキストに含めたいファイル内容を手動で追加する必要があります。

context-panel

どのファイルをコンテキストに追加すべきですか?

創作の初期段階では、まだテキスト量が少ないため、コンテキストとしてかなり多くの情報を加えても問題ありません。ルール、キャラクター、設定、現在の章、直前の章などをすべて含めてもよいでしょう。
この段階では全体量が少ないため、コンテキストが大きくなりすぎて AI に拒否される心配はほとんどありません。
もちろん、タスクにそれほど多くの情報が不要であれば、無理に追加する必要はありません。必要最低限の情報だけを渡すことで、AI の「注意」が散らかるのを防ぎ、より正確にタスクをこなしてもらうことができます。

例えば、ある一段落の文法ミスや誤字だけを修正したい場合は、ファイルをコンテキストに追加する必要はありません。

創作が中盤〜終盤に差し掛かると、キャラクターや設定のファイルがどんどん長く・多くなっていきます。
この段階で、あらゆるファイルを毎回デフォルトでコンテキストに含めてしまうと、早い段階で AI のコンテキストウィンドウを使い切ってしまい、後半の対話でコンテキスト上限エラーが頻発するようになります。
このような場合、必要最小限の「ガイド用ルール」や「キャラクター設定」だけをデフォルトで追加し、それ以外の内容は必要に応じて AI に読ませる ことをおすすめします。
例えば、新しい章を執筆する際には、次のようなものをデフォルトで付けるとよいでしょう:

  • 文体やトーンに関するルール:AI に一貫した文体を維持させる
  • 創作プランやプロット・アウトライン:AI に物語全体の流れを把握させる
  • 伏線・重要ディテールのリスト:特に前半で張った伏線を参照させる
  • キャラクター相関図:キャラクター同士の関係をグローバルに把握させる

では、こうした「創作ルール」や「ガイド情報」はどう作ればよいでしょうか?主な方法として:

  • プロフェッショナル補助モードで、FeelFish の スマートコンテキスト機能 を使い、既存テキストから情報を抽出する(下図1)。どんな情報をどのように抽出するかは、カスタムプロンプトで細かく調整できます。
  • プランニングモードでは、FeelFish が自動的に関連情報を管理します。 プランニングモードは現在パブリックベータ中で、今後も継続的にアップデートされ、創作者のワークフロー自動化を支援します。
  • カスタムの AI 実行モードを追加 し(図2:会話モード選択の右側にある設定ボタンから)、独自のシステムプロンプトを設定することで、AI にあなた独自のルールに従って執筆させることもできます。例えばプランニングモードを参考にして、AI に「各執筆サイクルの後にキャラクター情報と相関図を自動更新する」よう指示する といった使い方も可能です。
  • もちろん、自分でルールやガイド文を編集したり、プロンプトで AI を誘導したりして、より柔軟に創作ニーズに合わせることもできます。

図1:スマートコンテキストを追加

図2:カスタム AI 実行モードの追加

会話がコンテキストウィンドウのサイズを超えた場合は?

エージェントとの対話中に、下図のようなエラーが表示されることがあります。これは、大規模言語モデルに「コンテキストウィンドウの上限」があるためです。
例えば DeepSeek 3.2 の場合、コンテキストウィンドウの上限は 128K(128,000)トークンで、これは数十万文字分程度に相当します。
この上限は その会話で扱われているすべての内容 に対して適用されます。そのため、単純に対話を長く続けた結果であれば、新しい会話スレッドを立ち上げるのがおすすめです。
1つの独立した創作タスク(例:ある章の執筆)ごとに、新しい会話で進めると扱いやすくなります。

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もし対話がそれほど長くないのに、あるいは 最初のメッセージから このエラーが出る場合は、デフォルトで添付されているファイルが多すぎる(または大きすぎる)可能性があります。
その場合は、前述の「どのファイルをコンテキストに追加すべきですか?」の内容を参考に、デフォルトで添付するファイルを減らしてください。
特に、まずは「すべてのルール」だけを選択するのがおすすめです。
また、「キャラクター相関図」のようなスマートコンテキストを構築することで、比較的少ないテキスト量でも AI に全体像を把握させることができます。

ちょっとしたコツとして、コンテキストの詳細表示を展開すると、その会話でデフォルト添付されている各ファイルがどれくらいコンテキストウィンドウを消費しているかを確認できます。

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